水分値という数字を、私は「焙煎士への手紙」だと思っている。この豆は、ここまで乾かしました。だからこう焼いてください、という一通の便りだ。Data Bankで測る数字の中でも、水分値はいちばん実務に近い。乾燥の終点であり、そのまま焙煎へ渡す最重要データでもある。今日は、水分値の測り方と意味を書く。
水分値は、豆にどれだけ水が残っているかの割合だ。おおむね10〜12%まで落とす。高すぎればカビや劣化が進み、低すぎれば豆が痩せて味が薄くなる。乾燥をどこで止めるかは、この数字で決める。指先や見た目の「乾いた感じ」ではなく、測って決めるのが基本だ。手紙にうそは書けないから、必ず測る。
水分値は「焙煎へ渡す数字」でもある。研究では、同じ焙煎温度・同じ時間でも、水分値が違えば色・密度・アロマが変わることが示されている。だから水分値を揃えることが、一定した焙煎の条件になる(Reh et al., Foods 2017)。水分値はNIR(近赤外)で迅速に測れ、アラビカ・ロブスタで別のモデルもいらない。だから私たちは「平均で11%」ではなく「みんなが11%前後」を目指す。ロットの中でばらつくと、手紙の文字がぶれて、焙煎士が同じ豆でも安定して焼けなくなる。
乾燥の終盤に水分値を繰り返し測り、目安に入ったところで止める。ロットの中で揃うように、天地返しを欠かさない。水分値は、乾燥の答えであり、焙煎士への手紙でもある。
実際のロットの数値はDATA BANKに一覧にしている。数値で管理する全体像はData Bankとは何か、乾燥の終点の話は乾燥の科学、似ていて別物の指標は水分活性という指標へ。
Follow this record. New measurements, stories and lot releases from LAOS — delivered to your inbox first.
New records and lot releases, delivered to your inbox first.
New lots, drying updates and field notes — every Friday, in one short letter.