品質の話をすると、品種や標高や精製がよく主役になる。ただ収穫の現場に立つと、いちばん最初に品質を決めているのは、実を摘む人の手だと感じる。研究データでも、それは裏づけられていた。
収穫のやり方が品質にどれだけ関わるかを統計(回帰分析)で調べた調査では、品質を最も押し上げたのは選んで摘むことだった(品質への効き目を示す回帰係数は+1.275。プラスが大きいほど押し上げが強い)。いっぽう、熟度に関係なく一斉にしごく摘み方は、品質を押し下げた(同−0.478)(Sheema District study, 2025)。道具が同じでも、摘み方という技能で、品質は上にも下にも動く。
ただ、過大評価もしない。一つのロットを丁寧に処理すれば、多少の熟度差でもカッピング評価(SCA・100点満点)は意外に近づいた(完熟由杗78.82点、未熟系由杗79.14点でほぼ差なし)。技能の差が出るのは、主に欠点の数、粒の等級、そしてロット間の揃いだった(Dalvi et al., 2017)。摘み手の腕は、一杯の点数より、欠点の少なさと再現性に出る。
そして「毎年戻る摘み手」には、特別な値打ちがある。同じ人が毎シーズン来ると、その圃場の熟れ方を知り、複数回の選び分けを段取りでき、枝や新梢を傷めずに翌年の実りを守る(DR Wakefield; FAO)。技能が人に積み重なり、今年の完熟率だけでなく、翌年の樹という繰り越しの資産を生む。
「私たちは、摘み手を毎年入れ替わる労働力とは見ていない。同じ人に毎シーズン戻ってきてほしいし、そのために熟した実の見分け方や、房の扱い、複数回に分けて摘む段取りを一緒に確かめる。人に技能がたまることが、翌年の樹と品質を守ると信じている。」

「品質の起点は、摘む人の手にある。だから私たちは、人を育て、毎年同じ人に収穫しに来てらう。」
手摘みと機械の話は手摘みと機械収穫、完熟の見分けは完熟は色より先に来る、全体像は収穫の総説へ。
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