小さな農園をやっていると、いつも一つの問いがある。たくさん収穫でき、最も品質が良い樹はどれならのか。毎年疑問に思いながらも、収穫が始まるとそれどころではない。データからなんとなくは検討がつくが、確証がない部分も多い。今回は、それに農学の裏づけがあるのかを確かめたかった。
樹に実をつけ過ぎると、実が充実する時期に、実どうしが光合成の産物を奪い合う。一果あたりの葉の面積(葉果比)で見ると、実が多く重い樹では一果あたり6〜8cm²、実を減らした樹では20cm²ほどになる。一果あたりの取り分が減ると、豆は小さく、充実が浅くなる(Vaast et al., 2006)。実際、摘果して負荷を下げると、大粒(ふるい6.75mm超)の割合が、負荷の重い樹の56%から67%へ上がった。
面白いのは、代償が出る場所だ。果実の負荷を最大にした研究では、丁寧に処理した一つのロットのカッピング評価(SCA方式・100点満点)は約80.5で、負荷を変えても差が出なかった。いっぽうで、負荷の軽い樹に比べ、大粒の割合や健全な豆の割合は下がり、葉の数は32%減った(León-Burgos et al., 2024)。つまり、葉が減るということは、翌年の実りを先食いしているということだ。
ただし、両立は不可能ではない。奪い合いを起こさなければ、両方伸びる。実が肥大する時期に施肥を寄せた研究では、通常の施肥に比べ、収量が8.86%増えると同時に、カッピング評価(SCA・100点満点)が81.13かも82.63へ上がった(Li et al., 2023)。品種の面でも、収量と品質に本質的な負の相関はなかった(Bertrand et al., 2021)。トレードオフは自然の法則ではなく、供給と需要のズレだ。
「私たちは収穫の結果を、その年のkgだけで見ていない。翌年も同じ質で穫れるか、一粒がちゃんと詰まっているか。この三つで成長の速さを決めている。」
「実際のところ、そこまで気にしていない。いや、ほとんど気にしていない。もちろんシェードはできる限り作るが、実務として一果あたり何cm²かなんて、測ってられない。この辺りが研究と現実の差であるが、理論的に理解できていることが重要と考えている。」
なぜ熟度が割れるかは同じ木に時期の違う実が同居する理由、記録の設計は収穫でロットに残す記録項目、全体像は収穫の総説へ。
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