収穫でどれだけ丁寧に選んでも、記録しなければ翌年の自分に渡せない。どう作られたかを数値で語るというのは、来年の自分やパートナー農園が同じ判断を再現できるようにしておくことだ。収穫の段階でロットに何を残すべきか、LuLaLao Farmの実務と研究の裏づけを合わせて一覧にする。
収穫クラスターで見てきた研究は、記録すべき項目を指している。熟度と実の選び分けは品質を左右し、収穫時期(早い・盛り・遅い)でも欠点とカップスコアが動いた(Huang et al., 2025)。生豆の風味を最もよく予測したのは密度と水分だった(Gonzalez-Sanchez et al., 2024)。だから、この二つを含む物性はロットに残す価値がある。
測り方をそろえることも、同じくらい大事だ。近赤外分光を使えば、生豆の水分は、16時間かかる標準乾燥法に代えて数分・非破壊で予測でき(実測値との一致度を示す決定係数R²が0.97〜0.98と高い)、欠点や成分、カッピング評価まである程度は相関する(Adnan et al., 2017; Munyendo et al., 2022)。ただしそれも、標準の参照法で校正して初めて意味を持つ。数字は、同じ手順で同じ校正のもとに取るから、翌年と比べられる。記録の値打ちは、正しく測ってはじめて生まれる。
私たちがロットごとに書き留めているのは、次のあたりだ。数値はすべてData Bankの測定値と、目視の推定値に限る。
Brixが豆の甘さではなく熟度の物差しであることや、密度がなぜ効くかは、Data Bankの考え方に沿っている。数字は、翌年の判断に渡すために取る。
記録は、あとで見返すために取る。盛期のロットは高品質の枠に回し、未熟が出やすかった時期のロットは翌年の選別を強める。害虫の圧が高かった区画は、収穫後に対策を始める。記録が、何をすべきか教えてくれる。
今季、収穫段階でロットに残した項目は上の8種類。項目は増やすより、同じ項目を毎年同じ手順で取り続けることを優先する。
勘に見える摘みどきも、書き留めれば来年に渡せる。記録は、未来の自分への手紙だ。
各項目の背景は、完熟の見分け(完熟は色より先に来る)、未熟混入(未熟をどう減らすか)、摘採後の待機(摘採後の待機)、木の中のばらつき(なぜ熟度が割れるか)に。全体像は収穫の総説へ。
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