「コーヒーが酸っぱい」と検索すると、出てくる答えはほとんど同じだ。湯温を上げろ、細かく挽け、抽出時間を延ばせ。どれも正しい。抽出不足は酸っぱさの最大の原因だ。しかし、抽出を何度変えても消えない酸っぱさがある。そのとき疑うべきは豆だ。豆を作っている側から、世間の記事が書かない3つの原因を書く。
生豆の世界には「サワー豆」と呼ばれる欠点豆がある。文字どおり、酸っぱい豆だ。樹上や収穫後の管理不良で異常発酵を起こした豆で、見た目は褐色がかっている。これが数粒混ざるだけで、カップに不快な酸が立つ。
サワー豆が生まれる場面は分かっている。実の生育中の水不足、熟しすぎ、そして収穫してから処理までの放置だ。摘んだチェリーを暑い場所に山積みにすると、袋の中で望まない発酵が始まり、サワー豆への道が開く。だから私たちは摘採から処理までの時間を管理し、ロットに記録している。
未熟豆の混入もよく「酸っぱさ」として語られるが、正確には渋みと収斂性だ。青いまま摘まれた実は糖などの前駆体が足りず、渋み成分が多い。口の中がきゅっと締まる感じ、飲み込んだ後のザラつき。それは未熟豆のサインである。
未熟豆は色で見分けられるとは限らない。だから私たちは水に沈める。未熟な実や虫食いの実は密度が違い、水に浮く。浮いたものをすくい、さらに乾燥後にハンドソートで拾う。二段構えで未熟の混入を絞っていく。

焙煎から時間の経った豆、開封して長く置いた粉は、脂質の酸化が進んで「酸敗」と呼ばれる状態になる。これも「酸っぱい」と表現されやすいが、フレッシュな酸味とは別物で、古い油のような重い酸だ。豆の劣化については別の記事で詳しく書く。
欠点豆の化学は、意外なほど精密に調べられている。欠点豆の揮発性成分を分析した研究では、ブチロラクトンという化合物がサワー豆だけから検出され、黒色未熟豆には別のマーカーが同定された(Toci & Farah, 2008)。また未熟・黒色・サワー豆は健全な豆よりクロロゲン酸類が多く、これが渋み・収斂性に寄与すると報告されている(Mazzafera, 1999)。
では、どのくらい混ざると飲む人に分かるのか。消費者パネルを使った研究では、黒豆・未熟豆・サワー豆の混入が約10%に達したあたりから官能の変化が検知された(Carvalho et al., 2023)。プロのカッピングではもっと少ない混入でも指摘される。私たちの選別の数値目標は、この検知閾値よりはるかに下に置いている。
さらに、収穫後の待機実験では、48時間の待機で欠点豆率が4.42%から6.80%へ増えた(Osorio et al., 2024)。サワー豆は畑だけでなく、収穫後の数時間でも生まれる。選別と待機管理はセットである。
抽出のせいか、豆のせいか。切り分けは簡単だ。同じ豆で湯温を10℃上げてみて、酸っぱさの質が変わらなければ豆側を疑う。粉の中に色の薄い豆、褐色の豆、貝殻のように欠けた豆が目立つなら、選別の甘い豆である可能性が高い。そして焙煎日を確かめる。日付がない豆は、それ自体が答えになっていることが多い。
私たちが浮選別とハンドソートに時間をかけるのは、飲む人の抽出技術に品質を依存させないためだ。良い豆は、多少雑に淹れても酸っぱくならない。
豆に原因がある可能性があります。サワー豆(異常発酵した豆)の混入、過発酵、鮮度劣化による酸敗は、湯温や挽き目をいくら調整しても消えません。豆を変えて同じ淹れ方で比べるのが早道です。
消費者を対象にした研究では、黒豆・未熟豆・サワー豆が約10%混入したあたりから味の変化が検知されたと報告されています。逆に言えば、選別が効いていればわずかな混入は感じ取れません。
違います。品種や精製に由来する明るい酸味は品質ですが、サワー豆や酸敗による酸っぱさは欠点です。前者は甘さを伴い、後者は舌に残る不快感を伴うことが多いです。
良い酸と悪い酸の化学は「いい酸味」と「悪い酸味」は化学的に別物だ、欠点の全体地図は欠点とオフフレーバーの地図、摘採後の管理は摘採後の待機、豆の老化は古くなった豆は、どう「まずく」なるのかへ。
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