LAB REPORT
2026.04.06

水分活性という指標|水分値と、何が違うのか

文・Masa

濡れたタオルと、ジャム。仮に含んでいる水の量が同じでも、タオルはすぐにカビて、ジャムはずっと日持ちする。違いは「水の量」ではなく、微生物が「使える水」がどれだけあるかにある。ジャムは糖が水を抱え込んで、微生物に使わせない。コーヒーの生豆にも、これと同じ話がある。水分値と並んで私たちが大事にしている数字、水分活性だ。名前は水分値と似ているが、測っているものは違う。今日は、その水分活性について。

水分の「量」ではなく「効き具合」

水分値は、豆に含まれる水の量だ。それに対して水分活性(aw)は、その水のうち、微生物が使える水がどれだけあるかを示す。同じ水分値でも、awが高い豆はカビや酸化が進みやすく、awが低ければ保存に強い。冒頭のタオルとジャムの差が、まさにawの差だ。だから水分値だけでは説明できない「なぜ片方だけカビたのか」を、awが教えてくれる。

乾燥棚のパーチメント
目安まで下がるまで、密閉も出荷もしない。

awが、カビ毒を左右する

加速貯蔵の研究では、背景の水分活性が高い時間が長いほどカビ毒(オクラトキシンA、OTA)のリスクが上がり、精製方式や保存温度で生豆の寿命が変わることが示されている(Saengrayap et al., Foods 2024)。だから乾燥の止めどき、長期保管の判断、出荷の可否。どの場面でも、awは「この豆をどれだけ安心して置けるか」を一つの数字で教える。保存に強い豆の目安は、aw0.65前後まで下げることだ。ここまで下げれば、タオルはジャムに近づく。

置ける状態かを、数字で決める

水分値だけでなく水分活性も測る。目安まで下がっていない豆は、まだ密閉しないし、まだ出さない。数字で、置ける状態かどうかを決める。安全は、味と同じくらい大事だからだ。

 

実際のロットの数値はDATA BANKに一覧にしている。数値で管理する全体像はData Bankとは何か、似ていて別物の指標は水分値の測定と意味、乾燥の止めどきは乾燥の科学へ。

参考文献

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