完熟を待つのは大事だ。ただ、締め切りがある。未熟が欠点なのは知られているが、熟しすぎも同じように品質を落とす。完熟の窓は、下だけでなく上にも閉じている。
結論から書くと、増えない。糖などの風味前駆体は、色が完全な赤になるあたりでピークになり、過熟では頭打ちになる(Dong et al., 2024)。つまり完全な赤が狙いどきで、そこから先は伸びない。
一方で、物性は崩れていく。完熟の状態に比べ、熟しすぎると実の弾力(接触剛性)が約70%失われ、ぶよっとしてくる(Tinoco et al., 2022)。このぶよつきは単なる見た目の問題ではない。果皮が弱いということは、微生物に対する防御が失われているということでもある。
収穫が遅れて過熟した実は、カビ毒(オクラトキシンA)を作るカビに好適な環境を与える。この毒は焙煎しても消えないため、予防しかない。適期に収穫し、過熟果を除き、水分12%以下・水分活性0.60以下まで速やかに乾かすことが基本になる(López-Rodríguez et al., 2024)。
取り残した過熟果は、虫と腐敗の宿にもなる。コーヒーベリーボーラーは熟した実を好み、腐敗の病斑も熟果に多い。だから適期の完全収穫と圃場の衛生が、防除の核になる(Bayman & Serrato-Diaz, 2025)。熟しすぎを放置することは、その実を失うだけではなく、来季の圃場に問題を残すということである。
選び分けには、下の門と上の門がある。下は未熟、上は過熟だ。上限のサインは、指で押したときのぶよつき、皮割れ、黒ずみ、レーズンのような干からび。これらは乾燥の前に除いて別扱いにする。
過熟や落果を残さないことは、味を守ることでもあり、虫やカビを防ぐことでもある。収穫の現場では、完熟だけを摘むという言い方をよくするが、実際には「完熟を過ぎた実を残さない」という作業とセットでないと意味がない。
未熟も過熟も、どちらも欠点だ。完熟の窓は、思っているよりも幅が狭い。だから同じ木に何度も戻るし、戻るたびに「今回はどこからどこまでを採るか」を揃える。収穫は一度の作業ではなく、窓に逆らわないための繰り返しである。
甘さのもとになる風味前駆体は完全な赤のあたりでピークになり、過熟では頭打ちになることが研究で示されています。待てば待つほど甘くなるわけではありません。
指で押したときのぶよつき、皮割れ、黒ずみ、レーズンのような干からびが目安です。完熟に比べて実の弾力が大きく失われることが測定されています。
味だけの問題ではありません。過熟果はカビ毒を作るカビに好適な環境を与え、虫の宿にもなります。乾燥の前に除いて別扱いにします。
完熟の見分け方は色だけではない完熟のサイン、取り残しと虫の話はたった一粒の落果が、樹全体を、摘採後の扱いは摘採後の待機、全体像は収穫と選果へ。
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