収穫でいちばん軽く見られがちなのが、地面に落ちた実と、樹に取り残した実だ。拾わなくてもいい、と思いがちだが、これがコーヒーで最も厨介な害虫の温床になる。コーヒーベリーボーラーの話をする。
コーヒーベリーボーラーは世界で年5億ドルを超える被害を出す害虫で、収穫した豆に占める被害豆の割合が5%を超えると等級が下がる。実の内側を食うため、処理するまで見えない(Johnson et al., 2020)。
本当に怖いのは、この虫がカビの入口になることだ。虫が開けた穴から腐敗を起こすカビ(Colletotrichum や Fusarium)が入り込み、苦味や収敛、香りの低下を招く(Bayman & Serrato-Diaz, 2025)。虫の害が、そのまま味の欠点につながっている。
ある研究では、地面に残った加害果ひとつから、樹の約959果が感染しうると報告された。落果はおよそ140日ものあいだ、虫の巣であり続ける(Constantino et al., 2021)。一粒が三桁に化けるということだ。
だから防除の第一は薬ではなく、何一つ残さない収穫になる。統合防除のガイドも、圃場の衛生と全ステージの実を残さない収穫を最優先に置き、そのうえで開花後の見回りや、この虫が嫌がる菌を補助に使うとしている(University of Hawaiʻi CTAHR, IP-41)。なお、標高が高いほど感染が減ることも示されている(Constantino et al., 2021)。涼しい高地は、味だけでなく虫の面でも有利だ。
対策の基本は、やはり残さないことだ。樹の上も地面も、完熟・未熟・過熟・干からびた実まで、その回で採り切る。落ちた実も同じ日のうちに拾う。虫の穴が開いた実は、浮遊選別ではじく。薬を播く前に、まず巣を作らせない。
この虫がどれほど怖いかというと、一つの村を全滅させる力がある。一度広がれば、伐採や焼き払いにまで追い込まれる。逆に言えば、こまめに拾うだけで、そこまで行かずに済む。地味な作業だが、これ以上に効く防除はない。
収穫の完全性は、その年の収量の話ではない。来季の虫密度を決め、カビの入口を減らし、結果としてカップを守る。病害虫の管理と品質管理は、別の仕事のようでいて同じものだ。だから私たちは、一粒も残さない。
実の内側を食うため処理するまで見えず、被害豆が5%を超えると等級が下がります。さらに虫が開けた穴から腐敗を起こすカビが入り、味の欠点に直結します。
あります。地面に残った加害果ひとつから樹の約959果が感染しうるという報告があり、落果は約140日も虫の巣であり続けます。防除の第一は薬ではなく完全収穫です。
標高が高いほど感染が減る傾向は示されていますが、ゼロにはなりません。浮遊選別で穴のあいた実をはじく工程は、どの標高でも必要です。
取り残しと過熟の話は完熟の上の締め切り、摘採後の扱いは摘採後の待機、標高と品質は標高は品質を決めるのか、全体像は収穫と選果へ。
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