コーヒーの収穫は、機械化が進む分野だ。人手は年々確保が難しく、機械が担える範囲は広がっている。それでもLuLaLao Farmは手摘みを続けている。できることなら収穫から乾燥まで全自動で完了させたい。そんな理想はいくら資金があっても足りない。そこで、人と機械はどれぐらいの差があるのか、費用対効果は高いのか、まず事実として研究データを並べ、そのあとで私の考えを書く。
振動で選択的に収穫する技術は、かなりの精度に達している。最適化した振動収穫は、熟果を92%除きながら未熟果の除去は8%に抑えられた(Yu et al., 2023)。熟果は未熟のおよそ11倍の率で外れる計算だ。熟すほど実が枝から外れやすくなるという物理に支えられている。熟果の離脱力は2.5〜3.3N、未熟果は4.3〜5.3Nで、熟果はおよそ半分の力で外れる(Zhou et al., 2025)。携帯式の振動機を使った山岳地の比較でも、摘んだ実のうち熟果の割合は96.6%と手摘みに近く、手摘みに比べて生産性は78〜100%高く、収穫コストは約27%安かった(Sousa Filho et al., 2015)。数字だけ見れば、機械のコストパフォーマンスは高い。
ただし限界とコストも同じ研究が示している。選択収穫でも未熟果は8%残り、豆の損傷率は5.23%出た(Yu et al., 2023)。半機械では、手摘みに比べて落葉が33%増え、翌年の樹に負担が残った結果である(Sousa Filho et al., 2015)。落ちた実の扱いも重い。湿潤な気候では、地面から拾える実は同日回収のみで、それ以上土に触れた実は廃棄が推奨される(FAO Guidelines for the Prevention of Mould Formation in Coffee)。速さと選択性を上げるほど、傷み、未熟の混入、樹の負担、落下果の汚染というコストが積み上がる。機械は「9割は選べる。でもゼロにはできない」段階にある。
「9割を選べる機械は、 正直すごい。それでも私が手摘みを選ぶのは、導入コストがかかりすぎるからだ。まだまだ人件費が安い東南アジアにおいて、そして小規模農園の私たちにとって、収穫機械を導入することは考えられない。もう少し私情を挿むなら、機械によって仕事が奪われる現地の人々の生活はどうなるのかを考えたい。1割の未熟と5%の損傷への価値は、彼らの生活が奪われることと等しいのだろうか。 確かに、未熟の混入はカップを濁らせ、豆の傷みは精製や乾燥で品質低下をつながる。規模を追うなら機械が正しいだろう。私たちは規模ではなく、見極めで伸びる会社でありたい。だからこそ、あえて遅いやり方に手間を払う。」
私たちが払う手間の中身は、はっきりしている。未熟を混ぜないことと、豆を傷めないこと。この二つのためだけに、農園に何度も入る。
摘む人の技能の話は品質を決めるのは、摘む人だった、完熟の見分けは完熟は色より先に来る、全体像は収穫の総説へ。
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